一冊の本。その②
「完全自殺マニュアル」なんていう本が届くとドキッとする。
当然ながら子供に見せたくはないが、先に子供が見てしまった。
さすがに娘はショックを受けたようだった(私も少なからずショックを受けた)。
「まさか、妻は死ぬつもりなのか?」と考えたくもないことが頭をよぎる。当然だろう。娘もそう考えたにちがいない。
だが、一方で、仕事の一環として購入したのではないか、とも思った。前にクラスの子が自死に及んだとき、その本を自宅に持っていた、という話を保護者から聞いた、と妻は言っていた。どんな本なのか知りたくて、見てみたくて買ったのではないか、という憶測もたつ。
娘には、「お母さんは自分のクラスの子が亡くなった時に、どんな本を読んでそのような行為に及んだのか、担任として知りたかったんだと思うよ。なのでそんな本を買ったんだと思うよ。お父さんが担任でも同じことをしたと思う。」とフォローしておいた。
妻が仕事から帰宅してから、事情を聞いた。クラスの子が何を読んで、何を見たのか知りたかったのだという。ホッとした。
さすがに子供の目に触れるような形で購入するのはいかがなものか、学校に郵送してもらうよう細心の注意を払うべきだ、と妻には伝えた。妻もそれは自分のミスだと言っていた。
今となってはもうどうでもいい話ではあるが、気が気でない10時間程度を過ごした日であった。